旅の最終日は上海博物館で移転して初めて訪れましたが、ここも明るくきれいになっていました。早速入館しやきもの展示コーナーへ向かいました。旧館は建物の雰囲気は良いのですが非常に見づらかった記憶があります。展示内容は大きく変わっていません。しかし見せ方でこうも変わるのかと驚きました。
ここで眼に止まったのは明代末天啓期(1621〜27)の色絵皿です。有田で色絵技法が始まる20年ほど前ですが、そこに描かれている文様は古九谷様式そのものです。色調にはやや相違があるものの、おそらく有田の初期色絵はこのあたりを狙ったものと思われます。もっとも、この頃起こった明・清の動乱で中国の陶工が長崎へ逃れ、その技術を有田に伝えたという最近の説をとれば納得ができます
また、館内のミュージアムショップが充実していた事も驚きでした。やきものの本を数冊購入。上海博物館の見学を終えて今回の旅行の主な予定も終了となりました。
有田で磁器づくりに携わる者として、その発祥地を訪ねることができるのは、本当に幸運でした。現地でなくては得られない知識や、同行メンバーとの意見交換はこれからのやきもの造りに大きなプラスになるものと思います。
特に今回得られた磁州窯文様の筆使いやモチーフは、現代の暮らしの中でも充分に楽しめそうなものが多くあり、新たな源右衛門文様を表現する参考にしたいと考えています。 |