本窯

1300度の炎で、呉須が美しく発色

タイトル
本窯
再生時間
2分48秒
映像内容
焼成(薪入れ、炎)

窯詰めの日。サヤと呼ばれる焼成用のケースに入れられた器が、窯の胎内に積み上げられていきます。本窯では、サヤ入れ→窯詰め→露(ちい)焚き→攻め→あげ火→窯出しというプロセスをたどります。

焚き師たちの表情は真剣そのもの。作品を置く位置や高さで温度が違い、焼き上がりに影響するからなのです。失敗が許されないだけに事前に計算しつくした窯詰めが終わり、入口がレンガでふさがれると、いよいよ火入れを迎えます。

まず最初は「露(ちい)焚き」。窯の内部と煙突の湿気をとり、器の水分や有機物をとばすために、ゆっくりと時間をかけて温度を上げます。約900度。そしていよいよ正念場の「攻め」が始まります。

二人一組の窯焚き師は、窯の左右から同時に赤松の薪を投入。待つ間も窯に向かってどっかと座り込み、太い腕を胸元に組んで炎をにらみます。

薪を入れる度に天井狭(ざま=窯の上部の空気穴)から長い炎が吼えるように立ちあがります。900度から1300度へ。窯の酸素の量を調整し煙で満たす還元焔焼成(かんげんえんしょうせい)によって、呉須を美しく発色させるのです。

堅く強く、白い磁肌をつくる炎の試練。温度計やゼーゲル錐(すい)で温度を計りますが、それは目安。その気温、湿気、風の強さによって薪の量も投入回数も変わってくる経験とカンだけの世界なのです。

火入れから焚き終わりまで二日間。ゆっくり冷ました後、いよいよ「窯出し」。入口の煉瓦が外され、まだ熱を帯びたサヤが次々と運び出されます。

用語のご説明

還元焔焼成(かんげんえんしょうせい)
窯の中に送り込む空気の量を加減して、酸欠状態で器を焼く焼成法のこと。呉須や釉薬に含まれている酸化鉄から酸素を奪い、美しく発色させます。
ゼーゲル錐(すい)
窯内の温度を測定する三角錐の磁器。

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